阿賀野型(1942年より竣工)は川内型(1925年より竣工)以来約20年ぶりに建造された水雷戦隊の旗艦用の最新軽巡です。
しかし当初想定の砲雷撃戦の機会がほぼなく、1944末に竣工した4番艦の酒匂に至っては出撃機会すらありませんでした。
新鋭艦のためこの艦をより活躍できる架空艦にしたくなる方は多いと思います。管理人は阿賀野型2番艦の能代(当時未発売)を作製するつもりで、タミヤの矢矧をストックしていました。
しかし、2015年にフジミ模型から同型艦が4隻とも発売されて、このキットの使い道が浮いてしまいました。
貧乏性が顔を出し、古いとはいえ出来の良い模型を捨てるには忍びなく、架空艦矢矧改とした次第です。矢矧は実史では開戦直前の1941に起工し1943末に竣工しています。
開戦前に砲雷撃戦がなくなる事まで予測するのは難しいと思います。そこで船体外殻、キール部分が完成した時点で、戦訓を生かし防空巡洋艦に設計変更した事にしました。
したがって1、2番艦の阿賀野、能代は計画通りに完成し、3番艦の矢矧は今回の防空型になったという設定です。
実史でも海防艦の択捉型→御蔵型で建造中での設計変更があったことが、作製のお供に掲載の<海防艦 三宅戦記 輸送船団を護衛せよ>の冒頭に書かれています。
同様な例は大型艦の空母信濃、伊吹などでも見られたので、軽巡でもこのような変更はアリとしました。
これにより実史より3か月遅い1944年3月に竣工、同年7月のマリアナ沖海戦には間に合ったとの設定です。
模型水線間長 24.5cm
マストを金属線に交換
改造点(武装)
撤去: 主砲15cm連装砲3基、4連装魚雷発射管/次発装填装置各2機
設置: 主砲12.7cm高射砲5基、5連装魚雷発射管1基、25mm機関砲、爆雷兵装 増設
改造点(武装以外)
機関をシフト配置にしたため煙突形状、本数、位置が変化
艦載機の運用設備を撤去
架空艦を作るときは重武装にしたくなりますが、そこはグッと我慢しています。作製のお供(資料紹介)中の武装集の重量データーからすると、今回の改造で武装重量が30%以上減っておりかなり余裕がある設計となっています。
また主砲はあえて秋月型搭載の長10cm砲ではなく、汎用の12.7cm高射砲にしています。長10cm砲は射撃装置含めて製造が防空駆逐艦秋月型の分で手一杯との設定です。
主砲を前部3基、後部2基を背負式に配置し、集合煙突から間隔を離した2本煙突化したことで、外観が大きく変わっています。
最終的には英国の防空巡洋艦であるダイドー級に似ました。米アトランタ級にも似ています。煙突の配置変更の影響が大きいです。
連合軍では標準的に被弾に強いシフト配置である一方、帝国海軍艦艇は最末期の松型、橘型(改松型)を除きそうなっていません。
矢矧は坊の沖海戦では、船体に問題が無いにもかかわらず1発の魚雷で早々に航行不能になりました。機関配置の問題による被弾への弱さを露呈しています。架空艦としてその解消ができて個人的には満足です。
とは言え、この艦が2隻(矢矧改、酒匂改)が完成したところで、撃墜できた敵機数が増えた程度で戦局に影響したとは思えませんが。
タミヤ 1/700 軽巡洋艦 矢矧 改造 架空軽巡洋艦 矢矧 改
TAMIYA 1/700 Light Cruiser Yahagi remodeling into Fiction Light Cruiser Yahagi-kai
発売年:1972(ベースキット、タミヤ)
矢矧はフジミから最新キット(2015年発売)が出ていますが、こうした改造には安価でモールドが細かくすぎない古いキットの方が良いです。
発売は古いですがストレートに作っても通用する良い出来です。
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タミヤ 1/700 ウォーターラインシリーズ No.315 日本海軍 軽巡洋艦 矢矧 プラモデル 31315
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1/700 ウォーターライン 日本軽巡洋艦 矢矧(やはぎ)【31315】 プラモデル タミヤ
集合煙突でないため、日本海軍艦艇ばなれしています。