超リアル。海中の新表現

潜水艦 伊156 Submarine I-156 1/700 アオシマ Aoshima

私は材料メーカーに勤務しており新製品、新技術開発の仕事をしています。

 人間がやることなので、仕事と趣味と完全に分離ということにはならずに、どうしても趣味と関連づきやすくはなります。そこで見つけた方法がこの潜水艦の展示方法(水中ジオラマ)です。

 勤務先では粘土鉱物という材料を製造、販売しています。

 用途はいろいろあるのですが、その中の一つに増粘材という液の粘性を高める(ドロドロにする)ものがあります。

水中ジオラマ
海中の新表現法
new method for subsea
アクニス
Aqunis
呂-500
Ro-500

 この特徴を生かし、皆さんの身の周りでも化粧品、歯磨き、塗料などに入っています。

 これを毎日近くで見ていたところ、この粘土鉱物を水に分散させた材料が、潜水艦の展示(水中ジオラマ)に使えるのではと気づきました。

 公表例は伊156波104まるゆ1001型伊53伊41です。(2022/6現在。今後も追加します)

水中ジオラマ用の透明硬化樹脂問題点

 水中ジオラマ用の材料としては、硬化系樹脂(流し込んだあと、化学反応で固めることができる樹脂)が使われています。

 管理人は、仕事で硬化樹脂系材料の開発経験もありますが、モデラー目線での硬化樹脂の欠点は、

1)均一な硬化物を得るにはコツがいること
2)硬化後はリカバリーできないこと 

 が挙げられます。1)は硬化不良や、体積収縮、気泡や異物の混入などが日常茶飯事です。特に気泡が厄介です。

 また、湿気硬化型の場合には空気中の水分が硬化に必要なので大きな硬化物を一気につくれません。多段式に硬化させるので時間がかかります。

 これ以外にも、硬化が進むと、短時間で粘度が大きく変動する問題もあります。 

 特に気泡混入が厄介で、入った状態で硬化が完了すると、2)の通りリカバリーができません。最悪丹精こめて作った模型が全損という悪夢に見舞われます。

 あと、とにかく高いです。すこし安価なものは経時で黄変するおそれもあります。

(黄色くなるのは樹脂中のベンゼン環骨格由来で、無黄変品はベンゼン環を水添した脂環構造含有なのでどうしても高くなる。。ブツブツ)

粘土/水分散ゲルの基本特徴

ところが、今回紹介の、合成粘土/水分散液は硬化樹脂とは違い、以下の特徴があります。

硬化物ではない事による利点を列記すると

・   模型の取出し(模型の再利用)が容易。液の再利用も可能。
・ 模型を全損する失敗が起きない
・  模型やエフェクト(魚雷の推進泡)の位置を任意に変更でき、好みの構図を作れる
・ ジオラマの大敵、気泡が混入してもスポイトで除去可能
・   特殊な流動特性(チキソトロピー性、静置時は高粘度、動かすと急に低粘度化する特性)をもつ
 そのため、容器への充填は容易だが、静置で高粘度化し模型の位置を固定できる
・   硬化収縮などの寸法変化は発生しない
・   水彩絵の具を使った着色可。部分的な着色もできる

水中ジオラマ
海中の新表現法
new method for subsea
アクニス
Aqunis
伊-16
I-16
位置を任意に設定可。甲標的にご注目。伊18
水中ジオラマ
海中の新表現法
new method for subsea
アクニス
Aqunis
伊-52
I-52
綿を使った雷跡表現 伊-52

+αで特殊な光学特性を持つ点
・  光散乱機能(レイリー散乱 青空や、夕焼けを起こす現象)を持つ。ライト照射により色々な表現が可能
・ 上方からの白色LED照射により海中のような青色の表現が可能
・ 青発色は分散した粘土鉱物が短波長の青色を全方向に散乱するため(青空と同じ原理)
・  逆に、長波長の赤色のみが透過する(夕焼けと同じ原理)
・ 表面の凹凸に応じた光の帯を表現できる

水中ジオラマ
海中の新表現法
new method for subsea
アクニス
Aqunis
伊-52
I-52
光未照射
水中ジオラマ
海中の新表現法
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アクニス
Aqunis
伊-52
I-52
白色LEDライトで照射
水中ジオラマ
海中の新表現法
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アクニス
Aqunis
伊-52
I-52

その他特性
・  基礎化粧品の組成に類似した安全な材料で構成されている
・  臭気なし。かぶれなどの皮膚への影響もまず発生しない
・  水の揮発がないように密封すれは、長期間の保存が可能
(模型展示実績は約15か月だが、半永久的な保存も可能と想定)
・   透明硬化樹脂とくらべると安価
・ 一部の硬化樹脂のように、黄変しない

と以上の利点が挙げられます。

硬化物でないことによる欠点

一方、硬化物でないことによる欠点として、

・ 水漏れしない透明容器が必須
・   強い振動があると模型の位置がずれる。輸送には不適
・   金属塊などの高比重材料では、位置が維持できない可能性あり
・   空気・液界面に造形を施す余地が小さい
・   水の揮発で空気界面や、液内部の状態が変化する
(水の揮発をなくせれば変質しない。また、水の追加により復元は可能)

その他の欠点、想定されるリスクを列記します

・ 透明硬化樹脂よりも透明性が劣る
・   粘土鉱物が卑金属(亜鉛、アルミニウムなど)と反応し表面が変質する恐れがある
・   水が主体のため、吸湿性の材料では吸水劣化する恐れがある   (木材など)  

水中ジオラマの作製法

 私の所属する模型クラブのミリオンウイングスの展示会に出展し(2022/10)、他のモデラーの反応を聞いてみました。

 すると展示だけでは、透明硬化樹脂と同じに見え、ゲルの特徴が判りにくいとの感想がありました。

 一理あるので水中ジオラマ作製工程を公開します。

 主成分は粘土鉱物と水から構成されるゲルです。<チキソトロピー性>という、静置では高粘度、強く振ると液化する特徴があるので、強く振った後には、容器に注げます。

 容器に注いて3~5分ほど(カップ麺かい?)放置すると増粘してゲル状態になります。その後模型をズブズブ押し込むことで内部に設置できます。この時ピンセット、はしなどで位置の微調整も可能です。

 容器に液を注ぐときには泡が立たないようにすると、気泡の混入を減らせます。模型設置時も同様でゆっくりと沈めることで気泡が発生にくくなります。

 あらかじめ、模型を水でぬらしておくとなお良いです。

 直径1mm以下の気泡であれば液に再溶解するようで、1~2日経過すると消えることが多いです。お急ぎでない場合は1晩放っておくと、気泡を取り除く手間が省けます。

 大きな気泡はスポイトで吸いとります。

 模型内部に空洞がある場合など気泡が再発生する場合がありますが、これもスポイトで除きます。 

 動画(水中ジオラマ革命!)で紹介していますので、こちらもご覧ください。

背面からの光の利用

 白色LEDの照射以外の表現方法として、窓際におき、背面に緑などの透明板を設置することで、逆光的な写真にもできます。

 水槽は表面が平滑なので正面からの光を反射しこちらが写るのですが、逆光だとその心配はありません。

 この時、模型の凹凸が見えにくくなりますが、その場合はLED懐中電灯を当てると立体感をだすことができます。

 従来の白色LED照射だけの方法に比べて表現の幅を広げることができます。

水中ジオラマ
海中の新表現法
new method for subsea
アクニス
Aqunis
伊351
I-351
水中ジオラマ
海中の新表現法
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アクニス
Aqunis
伊351
I-351

 逆光をつよくすると、また違った表現にできます。

 トリミングして、水槽感をなくしたものです。同じジオラマで時間経過を表せます。

最後に

 材料の特徴を生かし使いこなせれば面白い表現ができると思います。

 管理人の興味ではどうしても水中ジオラマの潜水艦模型になってしまいますが。

 しかし、上で紹介した空中ジオラマのほかにも、スケールモデルのしばりを外せばガンダムなどのキャラクター系模型(ズゴック?)の他、水中遺跡などの水中ジオラマにも展開できると考えています。

 ご興味あるかたは、お問い合わせ入力フォームよりご意見など、お寄せください。

水中ジオラマ
海中の新表現法
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アクニス
Aqunis
呂-500
Ro-500
呂-500

 2022年ピットロード艦艇模型コンテストに下の写真で応募しました。残念ながら入賞はできませんでした。艦艇模型コンテストはレベル高すぎです。。

 でも懲りずに再挑戦するかもです。(2022/9)

水中ジオラマ
海中の新表現法
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アクニス
Aqunis
伊-58
I-58
回天を発信させている伊58

ここで使用した模型一覧
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タミヤ 1/700 ウォーターラインシリーズ NO.453 日本海軍 潜水艦 伊-16&伊-58
ピットロード 1/700 スカイウェーブシリーズ 日本海軍 伊54型潜水艦 伊56&伊58 2隻入り プラモデル
童友社 1/700 世界の潜水艦シリーズ No.7 Uボード IXC プラモデル WSC-7(呂-500扱い)

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タミヤ ウォーターライン WL453 1/700 伊16伊58
W122 1/700 日本海軍伊54型潜水艦 伊56&伊58(2隻入り)
【再生産】1/700 世界の潜水艦 No.7 ドイツ海軍 Uボート IX C【WSC-7-1200】 プラモデル 童友社

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