プラモデルの組み立て効率upのための小ネタです。1/700艦艇模型は小さい部品が多く、私のような年配者には素組でも組み立てがつらい時があります。
特に2008年以降はフジミの特シリーズを中心とした艦艇模型の高精度化が進み完成時のパーツの密度、解像度が上がった一方、組み立てに負荷が高くなってきました。
これを少しでも解消するための組み立て方の小ネタを紹介します。
1/700艦艇模型のランナーに固定した状態での組み立て
結論は、部品をランナーから完全に切り離さずに可能な限りの加工(接着、トリミング、部品によっては塗装)をします。
理由は、1/700艦艇模型は小さい部品が多いので固定、持ち手を考慮するとランナーについた状態で可能な限りの加工をしてしまった方が良いためです。
“ランナーに付いた状態でどこまで組み立てられるかゲ~ム”的なイメージです。説明書の通り組み立てると、ランナーから完全に切り外したくなりますがここは我慢です。次に具体例を示します。
小さい部品の組み立てで骨が折れるのはパーツの固定が難しいのが一因です。固定がうまくできないと接着ができません。小さいと手で持つのも大変です。
両面テープや治具(クランプ等々)を使っても固定が上手くできない場合もあります。
ランナーから完全にパーツを切り離さずに固定したまま組み立てるとこの問題を解消できます。1か所でもランナーと部品が繋がっているとランナーを持って固定できます。
この状態ならば位置も決まり小さな部品も接着しやすいです。
例として駆逐艦の艦橋組み立て例(ヤマシタホビーの浦波(特型駆逐艦))を紹介します。ランナーに着いたままの状態で、艦橋を完成しています。
ヤマシタホビーの駆逐艦は精度が高く出来がすこぶる良いのですが、1辺が1mm程度の細かい部品もあります。
ランナーから完全に切り離すと細かい部品を所定の場所に接着するのは一苦労ですが、ランナーについたままだと、手で持てる場所が大きく固定が楽なため作業の難易度が下がります。
浦波の艦橋は全13パーツですが、写真は全て接着済みです。(この状態を見て夏草冬虫を思い出しました。)
より大型の艦橋では、分割した状態である程度くみ上げてからそれらを合体させて完成させることもできます。
例として重巡洋艦愛宕(フジミ)の例を紹介します。3個の部分に分けた状態である程度くみ上げて、その後合体させています。このような合体ロボットがあったような。
この方法を応用し小艦艇では上甲板をランナーにつけた状態で部分をつけることもできます。
これだとランナー部分を持つか、そのまま置いても固定されるため、船体に上甲板を取り付けてから持ち手を気にして組み立てるより、大分楽に感じます。
つまり、艦橋や煙突等をできるだけランナーにつけた状態で組み立てて(第一工程)、これまたランナーにつけたままの上甲板に接着していく(第二工程)ことで、小さい部品を切り離したパーツに接着する場面が少なくなります。
2枚上の写真もヤマシタホビーの駆逐艦浦波ですが、主砲や煙突基部等をランナーにつけたままで組み立て、それを上甲板のパーツに接着していく方法を取っています。
直上の写真はシールズモデルの戦艦富士です。これも、ランナーから切り離さずにかなり組み立てを終えています。
繰り返しになりますが、設計図のようにすべてのパーツを切り離さないで、どこまでランナーに付けたままで組み立てられるか、をパズル感覚で工夫することです。
上の写真はウオーターラインシリーズの大型兵装セットの艦載機です。機体はうまい具合に1か所のみでランナーと繋がっているのでこの状態のまま、フロートや翼(複葉機の場合)を全て接着します。
このままで下面の明灰白色をスプレー塗装し、残りの部分も着色、最後にランナーから切り離します。
また、下の写真はピットロードの新WW-II日本海軍艦艇装備セット[1]R中の二連装25mm機銃です。
台座(操作員の座席)の部分と砲身部分が別パーツになっており、台座を艦艇色、砲身をガンメタルに塗装すると実物同様なリアルな機銃とできます。
しかしとにかく小さい!ので、色の塗り分けはギブアップしてこれもランナーのまま組み立てて全面ガンメタで塗装しています。
駆逐艦ではボードダビットとボートとを接着する部分が多いです。ボートダビットの接着先が艦艇色であれば、ダビットを船体に接着した後にボートを接着します。
しかし接着先がリノリウム色の場合にはダビットとボートを組み立てた後に船体に付けるとリノリウムの塗装が楽です。
この場合、ボートはランナーから切り離さずに固定した状態でダビットを接着します。切り離してしまうと角度の調整が大変です。
このままスプレー塗装後に切り離し、船体に接着します。最後に切断するゲート部分が目立たないサイドになるよう配置すると、再塗装も不要で更に楽です。
これは、航空母艦瑞鶴のマストです。各々3パーツから構成されますが、中央の部品をランナーに付けたまま組み立てをしこのまま塗装します。ランナーから切り離してしまうとマストが斜めにならないように組むのは至難の業です。
これは12.7cm高角砲です。各々3パーツから構成されますが、高角砲の基部をランナーにつけたままで組み立ててしまいます。
上で紹介の25mm機銃と同じく、効果大!別売りパーツベスト3の1位で紹介した、新WW-II日本海軍艦艇装備セット[1]R中の部品です。4基がひとつのランナーにありますがそのままだと砲身を組み立てにくいので切り離しています。
1/700艦艇模型でのランナーに固定した状態でのトリミング
組み立て時と同じく、ゲート部分(ランナーと部品の接続部)は、全てを切り離さずにランナーに付いた状態で整形すると楽です。
小さい部品をランナーから切り離してしまうと、小さい部品を持ってゲート部分を整形する必要があります。持ちにくい上、手を切る怪我のリスクもあります。
最終的にはランナーから切り離した部分も整形しなくてはなりませんが、小さい部品を持った状態での作業数が減ることで多少楽になります。
この例もヤマシタホビーの特型駆逐艦です。煙突パーツでは接着面にゲート部分が面しているためこの部分が邪魔になり、1で説明したような方法で組み立てることはできません。
しかし、ゲートだけでもランナーについた状態で処理しておくと、楽にはなります。
1/700艦艇模型船体の固定による組み立て省力化
1/700の日露戦争時代の艦艇模型で特徴的ですが、船体の全周に副砲や機銃が設置されており、ハリネズミ/ハリセンボン的な状態になっています。(装甲巡洋艦日進での例です)
この場合、手で持てる部分が本当に少なく最後の仕上げ工程(甲板、探照灯などの塗装、錨、マストなどの部品の接着)に手間取ることが多いです。持つ部分が悪いと副砲などがポッキリといきます。
これを解消するための方法として例のごとく磁石を応用した方法を紹介します。艦艇模型の下面に強力磁石を仕込むことを推奨しています。
目的は写真撮影時の反り(そり)の防止(艦艇模型の反り(そり)矯正)や、展示台への固定(展示台でワンランクアップup)のためです。
この磁石を利用してプラスチック展示ケースの台に一時的に艦艇を仮固定し、そのケースを持ち手として作業します。
展示ケース側には同じ船体に仕込んだのと同じ磁石や、ウオーターラインシリーズにもれなく付属している金属板を用いることができます。
磁石の特性として相当強力にくっつくため、塗装程度の外力ではびくともしません。
ケースは船体の大きさに近い方と取り回しが楽です。日露戦争の艦艇では全長が短いので、安価に揃える展示ケースの最初に紹介した小艦艇用のケース(ディスプレーケースミニ・フラットタイプ)に入ります。
これで持ち手問題は解消です。
小ネタですが、こうした方法も使い手間、ストレスを少なくしてバンバン作製しましょう。良かったら参考にしてください。
今回使った模型
Amazon
ヤマシタホビー 1/700 艦艇模型シリーズ 特型駆逐艦 I型改 浦波 プラモデル NV10
ピットロード 1/700 新第二次世界大戦 日本海軍艦船装備セット 1 追加パーツ付
1/700 日本海軍戦艦 富士
Rakuten
1/700 特型駆逐艦 型改「浦波」【NV10】 ヤマシタホビー
ピットロード 1/700 新第二次世界大戦 日本海軍艦船装備セット 1 追加パーツ付
1/700 日本海軍戦艦 富士