作製のお供(資料紹介)2

作製のお供(資料紹介)2

 模型作製に参考にした資料の出典を明記してくと紹介資料が増えます。作製のお供1に追記していくとどんどん長くなるので、新ページをつくりました。カテゴリー的な分類にはしておらず、読んだ順での紹介です。

 

帝国海軍 真実の艦艇史(2004) 

株式会社学習研究社 副題 :未発表写真と綿密な考証で明かされる秘められた新事実の数々 

 題名、副題から解る通り上級者(マニア)向けの本です。特集で紹介されている艦艇が戦後の雪風(中華民国の丹陽)、空母雲鷹/大鷹、軽巡夕張、鹵獲哨戒艇9隻、102哨戒艇、砲艦安宅、砲艦須磨です。夕張以外はマニアックで哨戒艇、砲艦はまず取り上げられることのない艦艇群です。

 内容もこれらマイナー艦艇での武装の変遷などを電報、電文や旧乗組員へのヒヤリングにより正確につかもうという地味で真面目な試みが書かれています。これにより武装配置などを確定してく過程が推理小説っぽくもあり面白いです。その一方確定に至らないケースも正直に残った課題として書かれています。

 これらとは別章の<日本海軍艦艇の定説への疑問、新説そして秘話>では比較的有名な艦艇での武装、装備類の状態についての調査結果が書かれています。確度が高く、模型にも反映できそうな情報で、管理人が気になったのは

・ 駆逐艦夕暮の前部の魚雷次発装填装置は他の初春型と異なり、煙突を挟んで左舷に1本、右舷に2本であった。(元水雷長証言)

・ 潜水母艦の迅鯨は開戦後も8cm高角砲を装備したままで、通説のように25mm連装機銃には換装されなかった(複数の元乗組員の証言、回想記) です。

いずれも現時点(2022/1)で未作製の艦なので作る際には反映したいです。 

 他にも、戦艦武蔵の最終状態では対空の噴進砲が搭載されていた可能性が高いとあり、これは当サイトで紹介の武蔵にも別ルートの情報(雑誌Navy Yard)により反映していました。

 古い本でいわき総合図書館で借りたものですが、その後中古で入手しました。他の方のサイトでも作製模型のネタ本として紹介されているのを見たことあり、良書だとおもいます。

帝国海軍、真実の艦艇史(2004)

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帝国海軍真実の艦艇史―未発表写真と綿密な考証で明かされる秘められた新事実の数々 (〈歴史群像〉太平洋戦史シリーズ (45))
中古本としては結構出回っており、定価より安価に購入可能です。

帝国海軍 真実の艦艇史2 (2005)

史料の精査と傍証の積み重ねで解き明かす定説の真偽と知らざれる逸話の実相 株式会社学習研究社

 帝国海軍、真実の艦艇史の続編です。1巻目の硬派な内容をそのままに、艦艇の歴史を解き明かそうとする本です。副題も1巻目同様に気合が入っています。

 特集では前巻とは別の艦の武装変化の考察が多いです。今回は戦闘艦艇では、軽巡長良、天龍、龍田。駆逐艦有明、三ケ月、長月、菊月、潜水母艦長鯨、迅鯨が取り上げられています。いずれもどちからというと、地味な艦艇ですが、丁寧に武装変遷や、菊月では米軍による引き上げ記録写真が載っています。

 これ以外にも前巻からの流れを汲んだ、鹵獲河川砲艦、中国に引き渡された艦艇群のその後などのマイナー艦の特集もあります。

 また、巻末では前巻で紹介さていた、軽巡夕張、駆逐艦丹陽(旧雪風)、航空母艦大鷹、第102哨戒艇、砲艦須磨の訂正、補遺が掲載されています。前巻発売後に寄せられた情報を元にしており。より情報の精度が高まったことが解ります。

 このシリーズの特徴として未公開写真が多いことが挙げられますが、この巻では特に米軍撮影の写真が多いです。中でも<日本海軍それぞれの最後>という項目では、B17やB25などから攻撃を受け、沈没しつつある海防艦、輸送船の写真が多く掲載されています。至近距離からの撮影もあり、艦上の緊迫巻が伝わってきます。この戦いで全員戦死との解説が所々にあり、胸が痛みます。

 この本の検証方法の一つである、元乗組員へのヒアリングという手法は戦後75年を過ぎ、ますます厳しくなっていきます。乗組員の方々がご存命の内にこうした検証が早くすすんでほしいです。

帝国海軍、真実の艦艇史2(2005)

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帝国海軍真実の艦艇史 2 (歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol. 51)

帝国の艦船 (2008)

株式会社学習研究社 副題:日本陸海軍の海洋軍備

上で紹介の本と同じく、学研の歴史群像シリーズです。
・砲雷戦兵備の変遷
・航空兵装と艦艇
・支援及び総力戦兵備
 と3章に分かれており、それぞれに適応する艦艇が紹介されています。
  
 それぞれの艦艇での当初想定された用法と実際の利用方法との差や、戦闘艦艇の場合にはその攻撃方法について、詳細に書かれています。魚雷発射時の見越し射撃の計算法や、遠距離砲戦での誤差、散布界などの確率的論的な記載も当時の海戦への理解を深めてくれます。

 加えて帝国海軍初期の日清戦争時の艦艇や、他の文献にはまず出てこない艦艇など、この手の本が好きな管理人でも殆ど本での紹介を見たことがない艦艇が紹介されています。その艦艇を列記すると

砲雷戦兵備の変遷
 装甲コルベット扶桑、三景艦(松島、厳島、橋立)、防護巡洋艦吉野、装甲巡洋艦春日

航空兵装と艦艇
 水上機母艦神川丸、給油艦足摺、給油艦速吸、潜水補給艦伊351

支援及び総力戦兵備 
 強行測量間筑紫、電纜敷設艦初島、陸軍起重機船蜻州(せいしゅう)丸、陸軍装甲艇、防空基幹船佐倉丸  です。

 戦闘艦のみではなく、陸軍所属含む広範囲な艦艇を紹介することで、総力戦に臨むというのはどういうことであったのか、当時の戦略に何が欠けていたのかも垣間見える硬派な本です。この本もいわき総合図書館にありました。   

帝国の艦船 (2008)

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帝国の艦船―日本陸海軍の海洋軍備 (歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol. 62)
中古本として出回っており、元の定価より安価に購入可能です。

決戦兵器陸軍潜水艦 陸軍潜航輸送艇まるゆの記録(2003)

光人社 土井全二郎

 陸軍の輸送専用の潜水艇まるゆについての本です。まるゆは海軍艦艇でないので、ただでさえ資料の少ない大戦時の艦艇の中でも謎の存在でした。私もこの本を読むまで断片的にしか知りませんでした。

 最も驚きだったのは輸送に特化した潜水艇の計画は開戦直後の1942年頭には陸軍内でまとまっており、これが同年11月のガダルカナル島での敗北撤退で一気に具体化にむけて動き出したという点です。

 そのため、大戦中に竣工した数も40隻と比較的多く、輸送に特化した割り切り方は潜水艦による漸減作戦に固執した海軍より先見の明があったとも言えます。しかし、陸軍が難易度が高い潜水艦を建造、運用するという非効率は覆うべくもなく、大部分は日本近海離島への輸送実績にとどまりました。  

 大戦後半の陸軍の中では航空機に次ぐ優先度で製造されたにも関わらす、海軍にも秘匿し(当然)海軍旗も掲揚していませんでした。そのため、味方からも不審船に間違われて攻撃を受けたエピソードも多数載っていました。謎の多い潜水艦についての概要を知るには面白い本です。
 
 ただ、冷静に輸送力を把握すると、まるゆ1隻での最大積載量が24tとあり、これは米国の貨物型リバティ船(戦時標準型の輸送船)1隻7800tの1/325です(艦艇模型のスケールかい!)。

 更に米国はこのリバティ船を2700隻建造した実績があり、ここまで来るとこの天文学的な差に愕然としてしまいます。

 大戦末期に日本海軍が最後に成功させた作戦として北号作戦があります。南方に孤立しそうな艦隊を日本に帰還させつつ資源輸送を行う作戦ですが航空戦艦伊勢、日向、軽巡洋艦大淀、駆逐艦4隻の計7隻で持ちかえることができた量が中型貨物船1隻分とのことで、輸送における貨物船の有用さが良くわかる話です。
 
 1/700まるゆはフジミ模型から1/350まるゆ(これまたすごいマニアックなアイテムです)のオマケとしてフルハル一体型モデルがでています。あまりの小ささに単体アイテムにならないためでしょう。私も作製済みですが、あまりに小型なのでどのように紹介するか思案中です。

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陸軍潜水艦 潜航輸送艇㋴の記録 (光人社NF文庫)

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