AFV、ガンプラなどで下地に全面黒を塗ってからスプレー塗装で目的の色を徐々に載せていく方法があります。<黒立ち上げ>とも言われます。わたしが所属の模型クラブ<ミリオンウイングス>でも使っている方が多いです。
濃淡をつけたりパネルライン上には色を少ししか載せないことで、目的の色を直接塗るよりもリアルな塗装になります。
この方法を艦艇模型に応用する方法をご紹介します。管理人は大変気に入ったので、直近の半年ぐらいはこの方法を標準にして作製しています。
全体の流れとしては、
① 模型をできるだけくみ上げる
② 黒系スプレー(黒サーフェサー)で全体を塗装する
③ 軍艦色を厚塗りしないように少しづづ塗る
④ 甲板色、リノリウム色などで塗り分け、完成 です
艦艇模型での最大のメリットは、模型の奥まった所が自動的に影になり立体感が増すことです。
この方法採用のきっかけは、ミリオンウイングスメンバーの作品中に、単色の自衛艦にも拘わらず、立体感が強調された模型があったためです。
作り方を尋ねたところ、冒頭の流れを教えてくれました。これを実施してみました。このように技術を教えてもらえるのは模型クラブ所属の良い所です。
デメリットは下地塗りのひと手間増えることぐらいで、他はあまり思いつきません。
黒塗装(下地)
小型艦艇の駆逐艦で試してみました。作例はハセガワの夕雲型駆逐艦と、ヤマシタホビーの松型駆逐艦です。(松型は素組ではなく、前部マストを次級の橘型の形状に改造した榧(かや)にしています)。
なるべく組み上げます。大部分を組み上げた後、全面黒で塗装します。


管理人は、黒系として黒サーフェサーの缶スプレー(GSIクレオス Mr.Finhsing Surfeser1500 Black)を使い、全体に吹き付けます。
使用サーフェサーは重ね塗りがOKで、速乾性があるラッカー系であればメーカーにこだわる必要はないです。ただ、クレオスのは店頭などでも入手しやすいです。
フラットブラックなどの上塗り用の塗料でも代用できますが、コスパを考えると黒サフの方が良いです。
スプレー種類選択の注意点として、以下は避けた方が無難です
・ 水系:上塗りの際に浸食される可能性がある
・ 100均の黒缶スプレー:薄塗りしにくくモールドが埋まりやすい
全周からしっかり塗り、塗り残しがないようにします。黒下地の目的が立体的な陰影を作るためなので、奥まった所もしっかり塗装するためです。
そのためスプレー飛沫が入りにくい影の部分にも色が乗るように繰り返しスプレーを塗装し真っ黒にします。
ただ、厚塗りするとモールドが埋まるので一気に塗布するのではなく、乾燥させつつ繰り返し少しづづ色を載せていきます。
また、混色を防ぐために次の軍艦色の塗装前にしっかり乾燥させる必要あります。
軍艦色の塗装
次に軍艦色を塗るのですが、完全に軍艦色で被覆するというよりは、主だった面に色が載るようにザックリの感覚でスプレー塗装します。
こうすることで、凹凸の凹部や、構造物の影、垂直面の立ち上がり部分の影に軍艦色が載りにくくなり、立体感が出せます。
この加減が難しく、やりすぎると陰影が出ずに、下地の意味がなくなり、少なすぎると下地の黒が目立ってしまいます。
この塗り方としては、最初から模型に向けて吹くのではなく、模型外からスプレーして模型の部分を横断するイメージです。

これを、各方面(側面、斜め上のそれぞれ左右4方面)からスプレーを5回ぐらい。トータル20回ぐらいで丁度良い感じがします。


模型の上下左右にも色が塗られており、艦艇を狙って塗装しているのではないのに注目ください。
塗りすぎると後戻りできないので、少し不足気味ぐらいでやめておき、必要に応じて再度塗るのがベストです。


艦橋や煙突の奥まった所に黒が残っており影に見える状態で止めた塗装状態の例です。
ここではわかりやすくするために、日本海軍の軍艦色スプレーの中では色が薄いクレオスの呉海軍色(夕雲型)、タミヤの舞鶴軍艦色(松型)で塗装しました。
缶スプレーの色調については、缶スプレー色見本by実模型をご覧ください。
エアブラシ(ハンドピース)塗装にはこの方法は特に適しています。低圧ですこしづつ塗料を吹くことでイイ感じの塗装ができるはずです。
管理人はスプレー缶での専用色ない自衛艦では、下地黒スタートでエアブラシ塗装をしたことがあります。こちらの方が軍艦色を載せる調整はしやかったです。
仕上げ
軍艦色の塗装後は、船体のリノリウム色、艦載艇などに色を載せていき、最後に機関銃類を設置して完成です。

夕雲型での例です。一番下が、今回の方法での黒立ち上げ、真ん中が従来法の黒立ち上げなし、上も黒立ち上げなしでウエザリング実施です。

同じく、手前が黒立ち上げ、奥が黒立ち上げ無しです。写真だとイマイチ差がわかりにくい感じもあります。そのため、差がでやすい所を拡大したのが下の写真です。

魚雷発射移管の管と管のすきま、次発発射装置上面や、甲板のすべり止めを見ると、下の黒立ち上げの方がメリハリがあるのがわかります。

松型の榧の完成状態です。黒立ち上げ無しの比較がないのでわかりにくいですが、何となくメリハリアップしたと感じていただけると幸いです。


当然ですが大型艦でも有効です。写真は最上型重巡です。これ以外にも<大鷹型レベルアップ改造>の後半で簡単にこの方法に触れています。
また、潜水艦では<海大型潜水艦群の作製>で黒立ち上げを使った例を紹介しています。排水溝のモールドが浮かび上がりこれも効果的です。
終わりに
下地の色として黒が良いか検証のために、錆っぽい赤(オキサイドレッド)下地で駆逐艦を作った例もあるのですが、これはイマイチでした。
老齢艦的なイメージをだせるかと思ったのですが、遠くから見た場合メリハリがないというか、ぼやけるというか効果が見えにくかったです。
下地の赤が透けて見えて錆びた艦艇を表現できると思いましたが、1/700というスケールを勘案すると、黒下地による凹凸の方が見栄えに影響すると思います。
塗装工程が一つ増え、サーフェサー代もかかるのですが、この程度の負担で模型が良くなるので、管理人的には継続中です。
艦艇以外でも、クラブ課題の航空機の作製にも取り入れており、汎用性の高い方法であることを実感しています。


へり機体中央部の多数の穴が立体的に見えます。これは黒立ち上げをしないと表現しにくいです。
クレオスからは1000の粗目のサフもでているので、戦車などはこちらの方がよいかもしれません。
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