日本海軍の潜水艦は伊19や伊58などの巡洋潜水艦や、特潜型(海中空母)伊400型が有名です。
一方、海大型(海軍大型の略)潜水艦(大戦中は100番台の番号がついた潜水艦)はマイナーな潜水艦模型の中でもさらに影が薄いです。そのため新しい模型化はほぼ期待できないです。
海大型潜水艦の模型は長らくハセガワのウオーターライン伊171、伊68(いずも海大6型、金型は同じ)のみでした。
しかし、2020年代に入りアオシマから2隻組フルハル選択式の伊156型(海大3B型)が発売されました。
この新旧キットを2個づづ使うと大戦に参加した海大型潜水艦4タイプ(海大3B ,4 ,5 ,6 )をフルハルキットとして無駄なく作製できるのではと考えました。
加えて、海大3b型が2隻(または海大3b、4型各1)のウオーターラインキットもできるため、完成する隻数は同じです。つまり無駄なキットゼロです。
作製プラン
ポイントは、
・ 海大4型は3b型よりも船体が短いので切除する。切除したフルハル部分を船体が長い6型のフルハル部の船体延長用に流用する
・ 海大6型よりも船体が短い5型は、6型のウオーターラインキットを切断しフルハル部分を長さが近い3b型を流用する
文章だけだと分りにくいので下に図示したものです。

図の左側がキット初期状態、右側が改造後です。
このとき模型の全長は、6型>5型=3b>4 になります。
しかし、実艦の全長は 海大3b型(101m)、4型(97.7m)、5型(97.7m)、6型(105m)なので、
6型>3b型>5型=4 型となります。
つまり、3型と5型の長さ関係が逆です。というか5型が長すぎることになります。
今回はなるべく少ない作業で4タイプをそろえる目的のため妥協しましたが、長さの関係を正確にするためには5型の船体を短くして解決します。
この場合は6型の船体の切除場所をうまく設定しないとバランスが崩れるので注意です。
船体の組み立て
下の写真は改造前(上図の左列)の状態です。左上が海大6型ウオーターライン2隻分(2箱)、その下の4セット(2箱)が海大3b型のウオーターライン部(左)、フルハル部(右)です。

これらを組み立ての作戦だてに沿って、現状合わせで船体を切った貼ったで組み立てます。

フルハルの4隻を組み立てると下の写真となります。上から6、5、4、3b型で黒マジックの印部分が船体の加工部分です。写真の奥行のため手前の3b型が長くみえてしまいました。
海大3b型のフルハル部分は艦首錨付近が海大6型と比べて細いです(黄色点線部)。船体の微妙な曲線に完全に合わせるのは難しいです。管理人はパテで段差を埋めただけです。これ以外は合いが良いです。

ここでフルハル部にネオジム磁石を仕込んでおくと、<フルハル潜水艦の展示法>で紹介の通り、展示台の上でズレなくなり都合が良いです。
今回は管理人は組み立てに夢中で磁石を仕込み忘れました。
フルハル船体を接着した後はプロペラガード、プロペラ、舵類、などの突起部分は組み立てず(艦橋のみが設置された鰹節状態)で色を塗ります。5型は6型の艦橋を切断し2mmほど短くしました。
今回は最近検討している黒下地(サーフェサー)での塗装を行い(下写真上段)、船体の継ぎ目の状態を確認したあと軍艦色をスプレー塗装しました(下写真中段)。
潜水艦は艦艇側面に水抜き穴がモールドされているので、黒下地を塗装すると立体感がでやすいです。
その後、船体上半分をマスキングした状態(下写真下段)でフルハル部分の潜舵、垂直舵、プロペラ軸を接着し(1枚下写真)艦艇色でスプレー塗装をします。
色のバリエーションを出すため、艦スプレーの色を変えています。缶スプレー色見本by実模型もご覧ください。


艦艇色のスプレー後はプロペラシャフトを銀で塗装し、金色に塗装したプロペラを付けます。
最後にウオーターライン部分のマスキングを外し潜舵、プロペラガード、備砲類を接着し、木甲板部分にデッキタンを筆塗装すれば完成です。
ウオーターライン状態の2隻(4型船体短縮加工、3b型ストレート組み)も同時に組み立てます。


この方法でフルハル海大型潜水艦が一気に4隻ストックできます。(管理人の更新速度では2ヶ月分です!)また同時にウオーターラインの2隻(4型、3b)型も作れます
写真奥から6、5、4、3b(以上フルハル)、4、3b(以上ウオーターライン)です。
海大型3bと4型(3bからの改造)は紹介済みですが5型、6型のフルハルキットは初登場です。
いずれの型式も同型艦があります。しかし、各型とも少ないです。3b(5隻)、4(3隻)、5(3隻)、6(8隻)
過去作製分と合わせて今回で3b、4型はすべて揃いました。。
Uボート7型の約700隻、ガトー級と改ガトー(バラオ級)の約200隻とは比べるべくもないですが、これでは帝国海軍潜水艦の活動が目だたないのが仕方がないです。

海大型と巡潜型の違い
海大型が艦隊随伴のために水上速度を重視したのに対し、巡潜型は航続距離を重視した点が異なります。
単独行動が多い巡潜型には航空機搭載型が多いのに対し、海大型には航空機搭載設備がないです。
また、複数のソースに海大型は潜水できる駆逐艦的な役割と書かれていました。しかし、後期の建造艦になると、その性能差は大きくはないようです。
巡潜丙型:水上速度23.6ノット、航続距離16ノットで14000海里、2184t、109.3m、航空機搭載せず
1940~44にかけて8隻竣工
海大VII型(新海大型):水上速度23.1ノット、後続距離16ノットで8000海里 1630t 105.5m
1942~43にかけけ10隻竣工
いろいろ策を練ったが最後には同じような要求特性に収れんしています。外観もそっくりです。これならば、最初から単一の型式で大量生産した米、独の作戦が良かったことになります。
使用した模型
伊156(アオシマ)
伊361/伊171または、伊370/伊68(ハセガワ、どちらでもパーツ構成は同じです)
<Amazon>
青島文化教材社 1/700 ウォーターラインシリーズ No.470 日本海軍 潜水艦 伊156 プラモデル
ハセガワ 1/700 ウォーターラインシリーズ 日本海軍 潜水艦 伊-361/伊-171 プラモデル 433
ハセガワ 1/700 ウォーターラインシリーズ 日本海軍 潜水艦 伊-370/伊-68 プラモデル 432
<楽天>
アオシマ 1/700 ウォーターライン No.470 日本海軍 潜水艦 伊156 プラモデル
1/700 潜水艦 伊361/伊171【WL433】 ハセガワ
1/700 潜水艦 伊370/伊68【WL432】 ハセガワ