航空甲板(航空作業台)とカタパルトで艦載機である水上偵察機を運用する旧海軍艦艇は多いです。戦艦、重巡洋艦の全艦艇、軽巡洋艦では大淀、阿賀野型、これ以外にも水上機母艦、特設巡洋艦などもあります。
模型映えする艦艇が多いのですが、管理人は最近までカタパルト周りの艦載機配置をテキトーに行っていました(艦艇モデラーにあるまじき状態です)。
しかし、作製のお供(資料紹介)にある軍艦雑記帳(上巻P20)に、詳しい解説があるのに気づき、いままで作った模型には誤りだらけと分かりました。
今後こうしたミスをなくしつつ、これから作製する皆さんのお役に立つよう、記事を企画しました。
ポイントは艦載機がカタパルト上か作業台上かに関わらず、飛行機の高さ位置が同じという点です。これを表現できているかです。
航空甲板上とカタパルト上とで飛行機の高さが違うと、機体の移動が大変になります。
カタパルト運用で使われる運搬台車と滑走車
カタパルト運用で使われる治具は2種類でそれぞれ運搬台車、滑走車と言います。滑走車がカタパルト上を滑走する装置です。運搬台車は飛行甲板上の運搬軌条上を移動させる台車です。
まずは、運搬台車と滑走車のパーツの例です。2バーツから構成されており、下半分が運搬台車、上半分が滑走車です。
下の写真はエッチングパーツでの組み合わせです。
航空甲板に艦載機を載せる場合には
<航空甲板―運搬台車―滑走車―艦載機> となります。
滑走車が艦載機を乗せ、運搬台車からカタパルトに移動します。この配置により、滑走車の高さとカタパルトの高さとが一致して、艦載機を平面で動かせます
滑走車
滑走車は零式水上偵察機などの双フロート機用、零式観測機などの単フロート機用の2種類があります。下のパーツでは左が双フロート機用、右が単フロート用です。
プラパーツでは単フロート用と双フロート用の違いまでは再現されていないことが多いです。
運搬台車
運搬台車のパーツ写真です。ひし形をひっくりかえしたようなパーツで、広い面の上に滑走車が載ります。
カタパルト
カタパルト上の場合には
<カタパルトー滑走車―艦載機> となります。滑走車の上に艦載機が載ります。
インジェクションのカタパルトパーツには、滑走車的なパーツ(突起)がついているもの(上)と、ついていない平面タイプ(下)があります。平面タイプの場合には滑走車のパーツを接着し、その上に艦載機を搭載します。
エッチング、インジェクションの併用
インジェクションキットでは運搬台車のパーツが豊富な一方、滑走車のパーツが少ないです。
そのため、インジェクションキットの運搬台車と、エッチングパーツの滑走車のパーツを組み合わせがおすすめです。
小さいパーツなので、通常のプラモ用接着剤でも運搬台車側のパーツに接着できます。ただ、汎用のゴム系接着剤を使った方が強度がでます。
艦載機の運搬台車、滑走車への搭載例
運搬台車にインジェクションパーツ、滑走車にエッチングパーツを使用して艦載機を搭載した例です。単フロート機では機体の位置が高すぎるように見えますがこれが正常です。
運搬台車もエッチングパーツを使ってもいいのですが、艦載機を載せると目立たず、せっかくのエッチングの精度を生かせません。また、箱組みをするしっかり必要があります。
一方、滑走車は箱状にする必要がないので、パーツは小さくても組立は楽です。
インジェクションパーツ単独
インジェクションキットでは設計図の記載が不十分な例が多く、要注意です。いままでに記載した方法を参考にして正しく使ってください。
運搬台車と滑走車が別パーツの場合には数がバラバラで、運搬台車の数が多い場合が多いです。設計図の記載の他に、数のミスマッチが誤使用を誘発しているとおもいます。
極端な例ではフジミの最上型のキットでは運搬台車のみが22個も入っています。一方滑走台車は双フロート機では艦載機とセット、単フロート機ではフロートについた状態になっており、個別パーツはありません。
また、インジェクションでは運搬台車と滑走車が別の場合と、一体パーツになったパターンがあります。形状で判断し、正確に使用する必要があります。
一体パーツは飛行作業台の上でのみ使用します。カタパルトに乗せると艦載機の位置が高くなりすぎてNGです。特設水上機母艦神川丸級に入っています。
エッチングパーツ単独
カタパルトのエッチングパーツを購入すると、運搬台車(下)、滑走車(上)とも付属しています。双方の数のバランスも良いです。さらに、説明書もしっかりしています。
小さいパーツで組立が面倒で目立たないため、管理人的には使わなくても良いのですが、数が潤沢で説明書がよいのがいいです。
エッチングパーツ好きや、運搬台車の箱組が手間ではない方は、滑走車とあわせてエッチングパーツを使用するのもアリです。
航空甲板がない場合
5500t軽巡は搭載機が1機なので飛行作業台はありません。しかし、カタパルト上での運用方法は他の艦艇と同じです。そのため、カタパルトに載せた滑走車上に艦載機を載せるのが正解です。
カタパルトの項を参考にしてください。
次回カタパルト周りの作例2では、管理人がやってしまった間違い例と、正確な作例を紹介していく予定です。
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これらは上の写真で紹介したファイブスターモデルのカタパルトエッチングパーツです。目立つ上面側に組み合わせ部分が来ないので組み立て易いパーツです。
国内メーカー製はカタパルト上面側に組み合わせ部があるものが多く、イマイチです。