軽巡洋艦由良は2024年現在1/700艦艇模型の主要メーカーからキットが発売されていません。
軽巡以上の戦闘艦艇の中では由良だけです。緒戦の1942年8月に撃沈され知名度がひくいためといわれています。
しかし、潜入!キャラモデルでご紹介の通り、”蒼き鋼のアルペジオ”という作品に出てくる艦艇でキャラ模型化されています。
べースキットはタミヤ軽巡鬼怒で、これに艦橋まわりのパーツや劇中の特殊装備が付属しています。
大戦中の由良は特徴が出しにくいのですが、独特な冬季迷彩の写真が残っています。(本当に由良かは所説あり。興味あるかたは、<由良 迷彩>で画像検索ください)
由良ならばこの一択です。冬季迷彩の軽巡ではアリューシャン方面での活躍が有名な多摩、および木曽の作製法を紹介済みです。
しかし、由良は多摩、木曽とは異なり白色部の面積が広いです。そのため違う工程で作製しました。
この模型も見た目ほど作製の手間がかからないです。安価に入手できるタミヤの鬼怒からぜひ作製してください。
作製のお供(資料紹介)にある艦艇模型データベース2020年度版1巻のP102に改造方法が載っています。
左舷前方からの鮮明な写真があるため、ここは矛盾がないように作製しました。
まずは、サクサク作れる塗装術で紹介の通り、ほぼ組立を完了しています。未接着なのはボートダビットなどのクレーン類と、2、3番主砲、8cm高射砲だけです。
白面積が広いのでまずは白塗装しました。フラットホワイトを塗るとオモチャ的になるので、明白灰色をスプレー塗装しています。
明灰白色は日本海軍機の基本色なので、艦艇モデラーだと持っている方も多いと思います。
軍艦色部は船体の1/3程度の面積以外に艦橋、後マスト、主砲、前部の魚雷発射管に塗られています。あと構造物との区別がつきにくいですが煙突基部も軍艦色に見えます。
これらはスプレー(GSIクレオス32番)から吐出した色を細筆でフリーハンドで塗っています。パターンは不定形なので多少位置がずれても気にしません。
右舷側の写真は見たことがないです。こうした場合は安全策で左右均等にしたくなります。
しかし艦橋の迷彩パターンが左右対称には見えないので、想像によりパターンを作製しています。写真がある右舷とは色面積は、ほぼ合わせるようにしています。
実艦の写真では複雑な迷彩塗装がされているように見えますが、実際にはたいした事無く短時間で化完了です。これは多摩、木曽の冬季迷彩と同じです。
また、ボードダビットは写真の通り軍艦色にしました。
このあとリノリウムの茶色塗装をします。通常ではサインペンのポスカ(茶色)を使いますが、下地の白色の影響を受け明るくなりすぎました。
また、いつも使用の軍艦色よりも塗膜の付きがわるかったです。そのため、タミヤエナメルのフラットブラウンとタンを大体2:1 で混色し茶色を薄めて塗装しました。
もう少し色を薄めるとよかったかもしれません。が、白系の艦艇なので色が濃い部分があっても良いと考え直し先に進めました。妥協が積みプラ消費のコツです。
1番煙突両脇の対空火器は8cm高射砲に換装しています。25mm連装機関砲になったのは大戦直前のためです。
8cm高射砲のパーツは既存にはあまり良いものがないです。ベストなのはアオシマ神川丸級中のパーツですが1キットに2門しか入っていません。
今回は軍艦堂さんという会社の3Dプリンターパーツをつかってみました。精度は文句なしです。
ただ、砲身が細いためゲート切断時に破損しやすいです。もうすこし靭性があるとよいのですが。3Dプリントパーツの宿命ですね。
実艦の写真に艦載機が搭載されていないのでこの模型にも搭載しませんでした。
最後に実写風写真を紹介します。迷彩艦艇は小型艦でも見栄えがします。
模型ファンとしてはこうした迷彩写真が発掘されると、作製意欲が湧きサイトが長続きするのですが。
他の白系主体の迷彩艦艇としては終戦時にシンガポールにあった妙高が有名です。南方なのに白主体なのが謎ですが今回と同じ方法で作製可能でしょう。
しかし、艦尾を大破し稼働状況になかった時期なので、イマイチ作製の触手がうごかないです。
アルペジオの由良のキットはネット通販では品薄になっています(24/6)。しかし、大型の模型展店頭ではみることもあります。やや割高ではありますが改造の手間は省けます。
タミヤの鬼怒から艦橋部分の簡単な改造で作製した方がよいと思います。
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