プラモデルのプラって?

プラモデルの材料、ポリスチレン

 プラモデルはプラスチックモデルの略だからプラスチックだ!ということになりそうです。しかし、プラスチックってどのプラスチック?と聞かれるとご存知の方も少ないのでは。

 プラスチックとは材料の総称で何種類もあります。車といってもバス、トラック、普通車、レーシングカー等々色々あるのと同じです。有名どころではペットボトルのPET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン(これな商標です。正式にはポリアミドと言います)、レジ袋のポリエチレン等ですが、これらは極一部にすぎません。

 プラモデルに使われているのはポリスチレンです。ポリは多という意味を表す接頭語で、ポリスチレンとは、沢山のスチレンという意味です。ポリの下についている言葉(例スチレン)がプラスチックの構成単位ユニット(分子)の名前で、プラスチックの性質のかなりの部分を決めています。

 ちなみにポリスチレンとは下の図のような構造をしています。スチレン構造が沢山(n個)直線につながったのがポリスチレンです。実際にはこれらが糸まり状に絡まったものが集まり材料を構成しています。このような分子がつながった材料を高分子(ポリマー)とも言います。化学式にはアレルギーある方もいるかもしれませんが、特徴の説明のため紹介します。

 ではなぜ数あるプラスチックの中からポリスチレンがプラモに使われているかですが、
・接着しやすい
・射出成型しやすい(英語ではインジェクション。インジェクションキットの由来です)
・着色しやすい
・透明性が高い
・安価  な辺りが理由ではないかと推定します。

 上の化学構造からこのうちいくつかは説明ができます。一見してぶら下がっているベンゼン環(六角形の構造。高校で習ったと思います)が目立ちます。これがあることで、高分子の対称性が無くなります。図の上下のバランスが悪く見えますね。これが上にあげたプラモデルに必要な特徴を付与しています。一例をあげると

1)加熱処理により軟化しやすくなる。これにより熱加工(射出成型や、着色剤との混合処理)が容易になる
2)有機溶剤に溶けやすくなる。これにより接着が容易になる。プラモの接着とは接着剤によって、部品同士の一部を溶かして接着しています。粘性があるものは有機溶剤にポリスチレンを溶かして粘度を上げたもので、流し込みタイプのものは有機溶剤の混合物です。

 模型、プラモデルについての解説本、サイトは沢山あるのですが、プラモデルの材料の解説はあまり見ないので試しに紹介しました。私は化学を専攻した技術者なのでこうした材料に馴染みがあります。転職経験がありますが過去にポリスチレンの製造メーカーに勤務していた事もあります。その関係で、ポリスチレンの話は社内で聞くことも多かったです。

エピソード1.ポリスチレンの営業さんは、子供に何の仕事をしているの?と聞かれたとき、コンビニ弁当の蓋。底の色がついている部分ではなく透明な蓋の方!と答えると言っていました。

エピソード2.私が就職直後の若い時の話ですが、年配の技術の方は次のようなことを言っていました。真偽の程はわかりません。

 ポリスチレンは今は安いプラスチックだけど、戦前のドイツの論文に良質な絶縁材料として紹介されていたもので、ドイツから来た潜水艦に実物が載って日本に来たぐらい貴重な材料だった。とか。
 戦時中の日本の電波兵器類が欧米に後れを取っていたのは事実で、その理由には材料の差も大きかったことを考えると、真実味があるような気もします。

エピソード3.身近な耐久消費財への使用例としては、冷蔵庫の中の透明なトレイはポリスチレンです。低温だとプラスチックの多くは脆くなりますが、低温での剛性、耐衝撃性が良いためらしいです。大型冷蔵庫には結構な量のポリスチレンが使われているので、冷蔵庫メーカーは大事なお客さんです。別の開発材を冷蔵庫メーカーさんに紹介するときは、その伝手をつかって訪問していました。
 但し、常温の耐衝撃性だと他のプラスチックより優れているわけではないので、パチンコ屋さんのトレーには中々参入できないと聞いたことあります。

エピソード4.PET(ポリエチレンテレフタレート)はボリュームゾーンの食品容器で競合強するため、ポリスチレンを扱う部署はPETを敵視していました。ただ、PETは溶剤溶解性が悪くプラモデルの材料としては適さないです。PETボトル工作でプラモ用の接着剤を使おうとしてもくっつきません。PETの構造式は、上のような化学式で示すと、対称性が高い構造をしています。興味ある方は調べてみてください。

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